この記事では、高橋留美子先生の「人魚シリーズ」について、概要とその魅力について紹介していきます。
「人魚シリーズ」は、読み切り形式の漫画作品で1980~1990年代に「週刊少年サンデー」(小学館)やその増刊号に掲載されました。
高橋留美子先生といえば、「うる星やつら」「めぞん一刻」「犬夜叉」などの漫画作品が有名ですね。「うる星やつら」「めぞん一刻」「犬夜叉」などと比較すると、あまり知名度は高くありませんが、「人魚シリーズ」はとにかく面白い!
コメディ色の強い「うる星やつら」「めぞん一刻」とは、また違った魅力があるのです。どちらかというとテイストは「犬夜叉」に近いかもしれません。読んだことがないよっていう人には、ぜひ読んで見てほしい作品です。
「人魚シリーズ」の魅力を紹介していきますので、最後までお付き合いをお願いします。
人魚シリーズとは?
「人魚シリーズ」は、「人魚の森」「人魚の傷」「夜叉の瞳」の3巻が単行本化され、小学館より刊行されています。アニメ化もされていて、残酷な描写があるということで一部はR指定となっています。(個人的にはそこまでではないと思いますが…)
アニメは、2003~2004年にテレビ東京系列で放映されました。DVDも発売されており、一部アニメ化されなかった話や放映が見送られた話なども収録されています。
「人魚シリーズ」は、各話読み切りの短編集です。命の意味や不老不死へのあこがれと苦悩をテーマにしたシリアスな内容で、高橋留美子先生の漫画作品ではあるけれど、コメディタッチの作品を想像して読むとその違いにびっくりしてしまうかもしれません。
「うる星やつら」「めぞん一刻」などと比較すると、大人向けの内容と言えるでしょう。
どんな作品?作風や特徴を紹介
ストーリーの概要は、人魚の肉を食べて不老不死になった主人公・湧太が、元の体に戻る方法を探し求めて人魚の謎を追っていく物語です。人魚の謎を追う旅を続ける中で湧太が出会った人々が見せる、人間の業や愚かさ、不老不死への執着を軸に物語は進んでいきます。
オカルト要素があり、シリアスで考えさせられる内容の作品です。
ヒロイン真魚
一緒に旅を続けるのは、女ばかりが住む人魚の里で囚われの身となっていた真魚という女。真魚はある目的のため、人魚の肉を食べさせれらて不老不死になっています。湧太に人魚の里から救い出されてともに旅をすることに。
真魚は、幼児の頃から囚われの身で育っているので、世間知らずでわがまま、かつお転婆な性格。一緒に旅を続ける湧太との間に生まれる、淡い恋愛感情をベースとしたほのぼのするエピソードなども織り込まれており、コメディ的な要素も楽しめます。
ストーリーが、どちらかというと暗くシリアスで、悲劇的な結末を迎える場合が多いので、このちょっとだけほのぼのするエピソードは怖い話や不気味な話が苦手な人には救いになるでしょう。
人魚と人魚の肉
ストーリーの中でキーアイテムである人魚の肉は、食べると不老不死になれる可能性はあるものの、それは極めてまれで、多くの場合「なりそこない」という化け物のような姿になってしまったり死んでしまったりします。
そして、一部の話に実際に出てくる人魚はメルヘンな童話の人魚ではなく、どちらかというとグロテスクな妖怪のような姿です。このようなストーリー設定やキャラクター設定は、オカルト好きやミステリーが好きな人も楽しめる内容となっています。
人魚シリーズの面白さ
不老不死は理想の境地などではなく、どう生きるかが重要というのが物語から伝わってくるメッセージ。それを、オカルトやミステリータッチのストーリー展開とともに楽しんで味わえるところが人魚シリーズの面白さだと思います。
人魚の肉を食べて不老不死となり、500年以上生きている湧太は、自分の欲望のために自分や身近な人の不老不死を願うことの愚かさや虚しさをよく知っています。
しかし、行く先々で出会う人々は、「生」に執着し、人魚の肉に翻弄されていきます。達観した湧太と、出会う人々とのギャップがこの物語を面白くしている要因です。
また、不老不死となってしまった湧太には、長らく同士と呼べる存在はいませんでしたが、旅の中で出会った真魚は文字通り同士であり、運命の人です。恋愛感情を超えた運命共同体で、ソウルメイトとはこんな存在という一つの答えをみせてくれます。
満足できる生き方とは?命の大切さとは?運命の人とは?など考えさせられる内容でありながら、単純に物語としても面白いのが人魚シリーズの魅力と言えるでしょう。
人魚シリーズまとめ
「うる星やつら」「めぞん一刻」「犬夜叉」と比較すると知名度は高くないものの、「人魚シリーズ」は読んでおいて損はない隠れた名作だと思います。
興味を持った方はぜひ一度、高橋留美子先生の「人魚シリーズ」を読んでみてください。